犬が死んだときの記述/日記/随筆/小説/武田百合子/富士日記/昭和/犬/dog/

犬の写真

犬が死んだときの記述/日記/随筆/小説/武田百合子/富士日記/昭和/犬/dog/

武田百合子 富士日記 昭和42年7月20日 より

朝 かに、卵、グリンピースの焼飯、スープ。
主人が作ってくれた。私の分も。車を拭く。トランクも開けて中を拭く。
実に心が苦しい。

いつもより暑かったのだ。一時間ごとにトランクから出してやる休み時間までが待てなかったのだ。
ポコは籠の蓋を頭で押しあけて首を出した。車が揺れるたびに、無理に押しあけられた蓋はバネのようにポコの首を絞めつけた。ひっこめることが出来なかったんだねえ。小さな犬だからすぐ死んだんだ。
トランクを開けて犬をみたとき、私の頭の上の空が真青で。私はずっと忘れないだろうなあ。犬が死んでいるのをみつけたとき、空が真青で。

以上
犬が死んだときの記述/日記/随筆/小説/武田百合子/富士日記/昭和/犬/dog/

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です