読み応えのある児童書 かおるのたからもの

かおるのたからもの

今日ご紹介するのは

「かおるのたからもの」

という児童書です。1990年発行で「51刷」のロングセラーです。対象年齢は小学生以上となっています。

私が興味をひかれたところは、主人公のかおるさんの父親とその友人の会話、その会話をそばで聞くかおるさんの心情です。

学校でかおるが同級生の杉田くんにマズイことをしてしまい、かおるはお父さんに泣きつきます。お父さんは父親として尻ぬぐいをします。
父親の友人は「・・・じゃあどうしたらいいかなんて、親が考えることはないんだ。あとはかおるちゃんと、その杉田くんという子どもの問題じゃないか。」(征矢清「かおるのたからもの」117ページより一部抜粋原文)と言い切ります。

皮肉なことですが、人付き合いの仕方やトラブルの対応の仕方、心の持って行き方など心に関する問題を積極的に取り上げる場所ではありません。
心は動くものであり、変わりやすいものです。個別具体的過ぎて教えにくいもので、正解が見えにくいものだからです。ただ、ないがしろにはできません。
問題となっているのは、心の問題ばかりです。

この本で向き合えること
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・自分で考えるということ
・人付き合い
・困ったときの自分の姿勢
・子育て
・相談
などなど…、いろんなことが疑似体験できます。

著者の方は巻末で、

「私はとにかくここで、おとなも子どももそれぞれの個人が持っている心の大切なものを確認したかったのです。」(征矢清「かおるのたからもの」本文134頁より)

と締めくくっています。登場人物は多いですが、人間関係も会話もシンプルなのでとても読みやすいです。いろんなことを考えながら読み進めることができました。

最後にちょっとかまんでしょうか。
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征矢清さんという方が書かれた本です。
絵本や児童書は、けっこう読むほうなんですが、征矢さんを存じ上げませんでした。

タイトルがシンプルで、カバーの絵が素敵なので思わず読み始めました。
作家さんは、どのような本を執筆されるにしろ人生の中で膨大な時間を注ぐことになります。
児童書ともなれば、本人の書きたいことだけでなく子供にどう感じてほしいかなど繊細な部分で勝負しているに違いありません。

しっかり読み込んでも、そのときの自分には感じられることがなかったという児童書もあります。
ですが、この「かおるのたからもの」は、こどもはもちろん大人もしっかり読める内容です。

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