本屋のたたみ方が学べます!  「ガケ書房の頃」山下賢二 著  読了レポート

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こんにちは。高松市の本屋、かまんよ書店のダイ・アオキです。今日もちょっとかまんですか。

「ガケ書房の頃」を読みました。読了です。
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昨日は、

・著者のさまざまな職遍歴

・本屋って大変だな

などということを紹介しました。

ここまでは前編です。

今日は後編。(この本には、前編・後編などという区別はありません。ダイ・アオキが勝手に区分しているだけです。)

山下賢二さんは、開店後6年目が過ぎたあたりから、ガケ書房の仕事がつまらなくなってきた。きっと売上が横ばいだったことも原因かと思われる。資金繰りにも行き詰まっていた。

やめる前に、知り合いに相談する。そして話を聞いてもらう。辞める決意を固くして、従業員に宣言するが、従業員たちの健気な態度を見て思いとどまってしまう。

あれよあれよと、知り合い経由でお金を借りる。瀕死の状態で死のうとしていたのに、望んでもいない輸血をされて、延命措置をされてしまった…そんな感じだ。

ガケ書房は当時10年目を超え、京都の左京区に無くてはならない存在になっていた。顧客も従業員も閉店してほしくない。けれど、オーナーの山下さんは資金繰りが厳しくてそれどころじゃない。早くやめて逃げ出したいといった感じだ。

山下さんとガケ書房は、メディアにも多数紹介され、有名になっていた。人脈も多く、イベントも多数行った。きっと来客も多かっただろう。けれども、本が売れなかったのである。本が売れまくって儲かってたら、やめるわけがないのであります。

これが本屋の現実なんだなーと本屋のリアルを経験させてくれた。

本書の中でガケ書房が崖っぷちになった原因は明らかに以下の2つである。

・家賃 → 月々27万円

・人件費 → 梅野くん、北村さん、時ちゃん。他にも手伝ってくれる友達がいたという。

安く見積もっても、経費で50万ほど。新刊だけを売り続けた場合、月々250万円売り上げても、プラマイゼロで、山下さんの給料はない。月に25日稼働したとして、1日10万円の売上。客単価が3000円だとしたら、34人が損益分岐点だ。何も買わないで出て行く人も多いだろう。そうすると、一日70人~100人の来客があったことになる。

私は、某カレーチェーン店で働いたことがある。一日70人~100人という来客数は、平均的なモデル店舗の来客数と同じだ。午前11:00にオープンして深夜0時に閉店するカレー店。ピーク時には従業員が4人、平常時でも3人で接客して、調理をして、レジをして、皿洗いもして、休憩はなくて…。電話のオーダを受けて宅配までする。お客が引いたら仕込みをしてピーク時に備える。働いていてめまぐるしい。それが飲食店や小売店の来客70人~100人だ。ただ、時間はあっという間に過ぎていくので、働いていて清々しい感じはある。

某カレーチェーン店は経費を引いて3割がお店の利益として残るモデルだった。本屋は経費を引く前に2割しか残らない。経費を引く前で2割である。経費(家賃や光熱費、人件費など)が2割以上あったら、マイナス、つまり赤字だ。

本屋が薄利多売と言われる所以はそこである。いわゆる本屋として生き残るには、大量に流れ作業で本を売るジュンク堂のようにメガ書店化するか、アマゾンのように家賃や人件費が掛からないようにするかそのいずれかである。山下さんは、自身のアイデアで、イベントを開いてチケット収入を得たり、店舗への来客につなげたりして売上を増やす工夫を重ねた。これはスゴイ経験だ。でも限界があったのだ。そして、本のみを販売する本屋「ガケ書房」を卒業し、本屋だけじゃない「ホホホ座」をオープンしたわけだ。それも思いつきではなく、今までの経験があったからだとおもう。

本を売りたいために、本屋ではないところからアプローチする。本を読んでなかった人に本に興味を持ってもらう。手にとってもらって、買ってもらう。

山下さんの新しい挑戦はもう始まっている。

ガケ書房の頃 山下賢二著

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